カーボンニュートラル CARBON NEUTRALITY

地球環境保全に向けて

人類の経済活動の活発化に伴い地球温暖化が進行しています。これまでのIPCC作業部会報告書に続き、2023年3月にIPCC第6次統合報告書が公開されました。これによると、2050年にGHG排出量をゼロにして初めて地球温暖化が1.5℃に抑えられるとのことです。地球温暖化に伴い、局地的かつ極端な水循環系の変化、それに伴う農業システムの崩壊、および暑熱に関連する健康被害・感染症の増加、生態系における生物多様性の喪失など様々なリスクが想定されます。
このような気候変動を抑制するため、JNCグループではこれまでの目標を引き上げ、2030年GHG排出量を38%削減し、2050年にはゼロを目指すことを宣言いたしました。その具体策として当社グループでは

  • 再生可能エネルギーの利用
  • 資源リサイクル
  • 環境負荷低減に寄与する材料開発
  • 省エネルギーに寄与する材料開発

を実施しています。
また、京葉コンビナートに位置する企業の一員として、近隣各社と協力してCO2排出の削減に向けた取り組みも開始しております。JNCグループは「よろこびを化学する」をモットーに、地球にやさしい環境をつくり、よろこびをお届けするために日夜努力して参ります。

JNCグループの温室効果ガス排出削減目標

JNCグループでは2022年に「JNCカーボンニュートラル宣言」を採択し、2050年GHG排出量をネットゼロにすることを目指し、削減の取り組みを開始しています。

【JNCカーボンニュートラル宣言】

  • 2050年GHG排出量ネットゼロを目標に全社を挙げて取り組む。
  • マイルストーンとして、2030年のScope1およびScope2のGHG排出量38%削減を目指す(対2013年度比)。
  • Scope3に関わる排出量削減のため、上下流のサプライチェーンと協働して取り組む。

JNCは、2022年4月、技術本部傘下に「CNに関連する技術の開発及び外部との協調体制の構築を推進し、地球環境の保全と社会経済の健全化に貢献する」ことを責務とするCN推進室を設置しました。2050年のGHG排出量ネットゼロという目標に向けて自社GHG排出量の削減・サプライチェーンとの協働の取り組みを開始するとともに、サステナビリティレポートを中心にステークホルダーへの情報開示を行っています。

削減実績

─ JNCグループ GHG排出量 ─

JNCグループ製品を通した環境保全への貢献

JNCグループでは、21年6月に経済産業省より発表された「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を見据え、自社での環境保全に関して取り組むほか、自社製品・サービスの供給を通じて、地球規模での環境保全に貢献しています。

貢献分野 製品・サービス 詳細
再生可能エネルギーの利用・創出・活用 【電力事業】
水力発電
九州地区での水力発電事業。
合計約98MWの自社水力発電所を保有。
GHG排出量ゼロの電力を製品製造に使用。
【電力事業】
太陽光発電
熊本県水俣市・岡山県倉敷市・滋賀県守山市での太陽光発電事業。合計5.1MWの太陽光発電設備を保有。
【化学品事業】
ポリビニルホルマール樹脂
ビニレック®
走行時にCO2を排出しないEVの駆動用モーター、風力発電等再生可能エネルギー用の発電機のコイル等に使われる巻線用ワニスとして、また、構造材の軽量化に寄与するCFRPの性能向上剤としても利用。
リサイクルによる資源活用 【排水処理事業】
自然浄化法リアクターシステム®による排水浄化事業
自然界に生息する土壌菌群の働きを活用した排水浄化システム。高濃度の有機物を含む排水を無希釈で浄化。悪臭を発生させない浄化技術であり、余剰汚泥は無臭の有機肥料としてリサイクル資源活用。
JNCの関連HP
JNCエンジニアリングの関連HP
【千葉ファインケミカル(株)】
プラスチックリサイクル
PP/PEメーカーで発生した樹脂を、環境に配慮した形で再生、市場のニーズに合った製品を供給。その他、プラスチック製造時の副生材を原料として、独自技術により精製加工し、商品を製造。
【繊維事業】
リサイクル材料を用いた繊維
リサイクルポリエステル100%使用のPE/PET複合繊維を製造、販売。
環境負荷の低減 【JNCフィルター】
各種ポリオレフィン複合繊維フィルター
お客様の製品の歩留まり向上・塗装品質向上により廃棄ロスを減らし、環境負荷を低減。カプセル・パック化による、有害物質飛散防止と作業環境の改善に貢献。
【化学品事業】
OXO技術
製油所の脱硫用水素を製造する際に副生するCO2を原料として、オキソ反応によりアルデヒド、アルコールの製造を行っており、CO2の有効利用に寄与。
【化学品事業】
塗料・接着剤添加剤
CS-12,CS-16
VOC問題の原因である有機溶剤の使用量を大幅に削減できる水系エマルション塗料の高性能造膜助剤として使用され、VOC低減に寄与。
【情報材料事業】
プリンテッド・エレクトロニクス用材料
半導体基盤に直接パターニングすることで低エネルギーの回路形成が可能。また、溶媒を含まない材料となるため、環境負荷低減に貢献。
【ジェイカムアグリ】
コーティング肥料
「LPコート®・エムコート®・ロング™・エコロング™」
肥料を樹脂でコーティングすることにより、施肥量の削減と環境負荷軽減に効果。
バイオマス利活用 【繊維事業】
バイオPE/PET複合繊維
バイオマス原料を用いた繊維、不織布を製造、販売。
【繊維事業】
ES繊維
バイオマスマーク認証取得
21年10月にバイオマス原料を使用した「熱接着性複合繊維(ES繊維)」のバイオマスマーク(25%)認証を取得。
【オージェイケイ(株)】
植物由来原料を配合した樹脂シート・フィルム
植物由来原料と石化由来原料を混合し樹脂シート・フィルムを製造。石化原料削減(GHG排出量削減)に貢献。
【日祥(株)】
バイオ・生分解樹脂販売検討
バイオ・生分解性樹脂の販売に向けて、商材の開発に注力。
バッテリー分野 【JNCフィルター】
各種ポリオレフィン複合繊維フィルター
LiB製造工程での極剤塗布精製の効率化をもたらし、生産性向上に寄与。特に高濃度のスラリーのろ過が可能となり溶剤量の低減でVOCの排出抑制に繋がる。
省エネルギーに寄与 【プロセス技術開発】
コンパクトフロー技術
微小反応場における精密反応制御を可能とし、本システム採用により、廃棄物量の抑制、溶媒量の削減、冷却負荷の低減に貢献。
JNCの関連HP
JNCエンジニアリングの関連HP
【情報材料事業】
有機シリコン材料
サイラエース®
半導体封止材やプリント基板として利用。EV等の自動車・産業用途の半導体へ使用。
【情報材料事業】
有機シリコン材料
サイラプレーン®
船底塗料として用いられた際に貝類の付着を軽減し、燃費向上に貢献。またシリコーン系塗料の塗膜表面の優れた平滑性は船体の使用燃料減に寄与。
【情報材料事業】
有機シリコン材料
サイラエース®
無機系材への接着性向上の特性を活かし、低燃費タイヤに活用。
【情報材料事業】
有機EL材料
従来のディスプレイより低駆動電圧で使用が可能となり、デバイス使用時の省エネルギーに貢献。
【液晶事業】
液晶材料
ディスプレイの低電圧駆動が可能な液晶材料、およびバックライト光源の高効率化が可能な高透過率液晶材料を供給することにより、消費電力の低減を図ることで環境保全に貢献。

カーボンニュートラルへの取組み

【水俣製造所での自社水力発電の活用】
JNC水俣製造所では、自社水力発電により供給される電力をすべての製品製造に活用し、電気由来のGHG排出量がゼロとなっています。非常に環境にやさしい製造所となっています。

【市原製造所での環境負荷の少ない高効率火力発電の活用】
市原製造所では他の化石燃料に比べGHG排出量の少ないLNG(液化天然ガス)を燃料とした自家発電設備を保有し、製造所構内、そのほか構外のお客様に電力を、また並行して自家用に蒸気を供給しています。コンバインドサイクル発電方式を採用しており、まずLNGを燃焼させガスタービンを回して発電し、続いてガスタービンからの高温の排熱を回収、蒸気を発生させ、蒸気タービンを回すことで、二重の発電を行います。発電効率の高い発電方式です。

【市原地区での近隣コンビナート各社とのCNコンビナート実現に向けた共同検討】
市原製造所の所在する千葉県市原市五井地区・千葉市蘇我地区の近隣各社殿と、カーボンニュートラルコンビナートの実現を目指し、共同検討に参加しています。コンビナートのサステナビリティの向上、かつ競争力強化に向けて、協力して検討して参ります。

(詳細は以下のリンクをご覧ください)
https://www.jnc-corp.co.jp/news/assets/ce8201f83847d105d836158d06eb03d18dc42a36.pdf

【各事業場での省エネ活動】
各事業場にて省エネ機器の導入、不要照明の消灯、生産設備の運転効率の改善等により省エネ活動を展開しています。
(活動事例)

  • ユーティリティ設備不良の把握と補修(四日市工場)
  • 省エネタイプのスチームトラップへの更新(守山工場)
  • 水銀灯のLED化の推進(各事業所)
  • 生産設備の運転効率の改善(各事業所)
  • 廃熱の回収(各事業所)

【CCUの検討】
(※CCU:Carbon Capture Utilization 二酸化炭素の回収・利用)
JNCではCO2を原料に利用する技術を有しています。その技術を応用し、社外機関と協力して、CCU技術の検討を行っています。

【サプライチェーンでの取組み】
Scope3排出量削減のため、上下流のサプライチェーンと協働して取り組むこととしています。具体的には「JNCグループサプライチェーンCSR推進ガイドライン」を設定・公表し、取引先に理解と協力をお願いしています。

【研究開発】
SDGsの視点を重視した環境・エネルギー関連材料(二次電池用材料・水浄化技術システム用材料等)を重点分野の一つとして研究開発を行っています。